うなぎと焼き鳥の「あいのり丼」が
人気の吉野さん。
いわゆる奥渋谷に1988年オープン。
渋谷でうなぎと言えば「大和田」というお店が
好きだったんですが、数年前に閉店。
それからはこちらに年に数回訪れています。
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◆ 店 内 ◆
ブルーグレーの壁と木材によるシックな空間。
時を経ているはずなのに古びれた感じはせず、
揺るぎない美意識を感じます。
店内は細長いつくりで、
カウンター9席と4人がけテーブル2卓。
カウンター席からはガラス張りで焼き場が
見え、食いしん坊的に目で美味しい。
ずぅっと凝視していました。
ここに席料100円払ってもいい。
お客さんは近くにある
NHK関係の方も多そうな印象です。
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◆ 料 理 ◆
【やきとり(正肉)…税込230円×3】
個人的には二枚看板の一つと思っているやきとり。
プリリとした身は中心部がわずかにレア。
甘辛いタレはしっかりした味なのに少しも
クドくなく、原材料の確かさを物語ります。
「そのまま」「七味」「山椒」で
食べましたが、山椒が一番好きでした。
鶏とタレの味わいを引き出しつつ、
プラスαの香味も加わってたまりません!
【うな重 特上(きも吸・上新香付)…税込4,850円】
■上新香
■きも吸
■うな重 特上
「うなぎは1番高いやつ。結局それが後悔しない」
という食いしん坊哲学に基づき特上を注文。
■上新香
野沢菜、人参、茄子、大根、胡瓜。
エッジが立ちまくった包丁の冴え。
大胆かつ繊細な美しい盛り付け。
ぬかをしっかり感じる味わい。
それなのに精妙な歯応え。
日本の文化や美的感覚が収斂した、
見事な一品だと思いました。
■うな重 特上
まず重箱が美しい。
上蓋の蒔絵の見事さに、
一瞬開けるのをためらってしまうほど。
しかしエイヤっと開けると、
半尾×3がしきつめられ、器からはみ出る勢い。
まずはそのまま。
む、けっこうワイルドな味わい。
山椒をかけるとワイルドさが中和され、
いい塩梅に。
食感は蒸しているのでふわりと。
やっぱり関東風が好きだなぁ。
そして半尾3列のレイアウトが好き。
うな重のはかなさ、って他にないと思います。
箸を入れた瞬間からもう、終わりの始まり……
3列レイアウトだと、「前編・中編・後編」で
楽しめて、 はかなさへの覚悟ができるというか……
やきとりと合わせてかなりのボリューム。
満腹でごちそうさまです。
そして重箱の蓋を閉めたら、
また蒔絵の見事さに見入ってしまった……
5分くらい眺めていたかも……
最小限の筆遣いで、
描きたい世界を最大限に切り取る。
この川は、この山は、この家は……
一つひとつを丹念に見ていくと、
いつしかその世界の中に没入していました。
そうか、ずぅっと昔からVRなんだな……
ぜひご自身の目で、じっくりご覧ください。
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◆ 接 客 ◆
お水の差し替えなどもサッと。
快適にすごせました。
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◆ ま と め ◆
ランチに使うお金としては
けっこう贅沢な部類ですよね。
でもこの満たされ感は、
十二分に価値があると思います。
そして日本の文化の素晴らしさも
あらためて感じたなぁ。
というわけで
『日本の文化に感じ入る』、
そんなお店です。
★4.0